群論とベクトル空間

よびのり先生は線形空間がわからなかったけど、群を勉強してわかるようになったらしい。

群論は骨組みの部分で、それに対してある肉付けをしたものがベクトル空間であるということがわかったらしい。

自分もベクトル空間を学んでいて、

「そんなに法則とか性質とか大量に教えられても、、、無駄に記憶させられても、、、」

みたいな気分になっていた。

「ベクトル空間V上の元にはこういう10個の法則があって、、、」

このへんまでは「なるほど、とりあえずこれを覚えておけば後で役に立つんだろう」と思えるのだけど、

「部分ベクトル空間は〜〜」「〜〜な時それらのベクトルは一次独立であるという」とたくさん定義や法則が出てきて、このまま続けていても後に残らないような気がしたので、ある程度の理解の深さが必要だと感じた。

ということで、群論をやっていく。

群論の定義

集合と演算のセットのことを代数系という。

何もルールがないと数学的になにも面白くないので、これに必要最低限のルールを課す。たとえば結合法則。

結合法則 $ (a \circ b) \circ c = a \circ (b \circ c) $

設定したいくつかのルールを満たすものに、群・環・体という名前がついている。

群が一番シンプルであり、以下4つのルールを満たすものが群である。

  1. 閉じている(ある集合の元と元に対して演算をしてもその集合の元になる)
  2. 結合法則が成り立つ($ (a \circ b) \circ c = a \circ (b \circ c) $)
  3. 単位元が存在する
  4. 逆元が存在する

環と体は演算が二つで、もっとルールが複雑になる。

群と体を結びつける理論のことをガロア理論という。これは5次以上の方程式に対して代数的な解の公式が存在しないことを示すもので、数学科が習う中で一番美しいと言われたりする。

さて、ではどういうものが群で、どういうものが群ではないのかを表で示してみる。

(R, +)⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎
(Z, +)⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎
(R, •)⚪︎⚪︎⚪︎✖️
(R*, •)⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎
T = { z ∈ C | |Z| = 1 } $ (T, •)⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎
G = {1}に対し (G, •)⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎
G = {i, -1, -i, 1}に対し (G, •)⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎

0に何かを乗算して$R$(実数全体)の単位元である1になるものはないので、このなかで(R, •)だけは群ではなく、他は全て群であると言える。

任意の$a,b ∈ G$に対し、

$a \circ b = b \circ a$

を満たすとき、$G$を可換群という。

群$G$の元の個数を$G$の位数といい、$|G|$で表す。

以降、$a \circ b$ を$ab$を省略する

定理1: 群$G$に対し、単位元はただ一つ存在する
定理2: 任意の$a \in G$に対し、逆元はただ一つ存在する

ベクトル空間

空でない集合$V$上に加法とスカラー倍が定義され、任意の$V$の要素$v_1, v_2, v3 \in V$、任意のスカラー$c_1, c_2 \in R$に対して、次の10個の演算法則が成り立つ時、$V$を$R$上のベクトル空間という。

  1. Vの任意の元$v_1, v_2$に対し、$v_3 = v_1 + v_2$で与えられる$v_3$も$V$の元である
    (加法が閉じている:$ a, b \in V \Rightarrow a + b \in V $)
  2. $ v_1 + v_2 = v_2 + v_1 $ (加法の交換法則)
  3. $ (v_1 + v_2) + v_3 = v_1 + (v_2 + v_3) $ (加法の結合法則)
  4. $ v_1 + 0 = v_1 $ となるような$\bf{0}$が$V$の中に一つ存在し、これを「零元」という(零元)の存在
  5. Vの任意の元$v_1$、零元$\bf{0}$に対し$v_1 + v’ = \bf{0}$となるような$v’$が$V$の中に存在し、これを「逆元」という。(逆元の存在)
  6. $V$の任意の元$v_1$、任意のスカラー$c_1 \in R$に対し、$v_2 = c_1 v_1 $で与えられる$v_2$も$V$の元である(スカラー積が閉じている:\lambda a \in V)
  7. $ (c_1 c_2)v_1 = c_1(c_2 v_1) $(スカラー積の結合法則)
  8. スカラー積の零元が存在する
  9. $1 v_1 = v_1$(スカラー積の単位元1が存在する)
  10. $ c_1 (a + b) = c_1 a + c_1 b $(スカラー積と加法の分配法則)

これら10個の法則の1~5は、「加法に対して可換群である」こと、6~9は「スカラー積に関して可換群に似た構造になる」ことを個別に表している。なので、以下のようにまとめられる。

  1. 加法に対して可換群である
  2. スカラー積に関して可換群に似た構造になる
  3. スカラー積と加法に分配法則が成り立つ

スカラー積の演算に出てくるスカラーはベクトル空間の元ではなく、他の体(有理数体,実数体,複素数体など)の元なので、ベクトル空間はスカラー積に関して群ではない。が、「単位元がある」「逆元がある」など群に似た構造を持っているため、「スカラー積に関して可換群に似た構造になる」と言える。

一次独立と一次従属

体$F$上のベクトル空間$V$の元$x_1, x_2, … x_m$が

$ a_1 x_1 + a_2 x_2 + … a_m x_m = 0 $

を満たす時、一つでも非零の係数$a_i \in F$があるなら、$x_1, x_2, … x_m$は一次従属であるという。逆に上の式を満たす係数には$ a_1 = a_2 = … = a_m = 0 $しかありえないなら、$x_1, x_2, … x_m$は一次独立であるという。

基底

体$F$上のベクトル空間Vの元を、全て適当な係数$c_i$を使って線形結合することで表せるとする

$ c_1 \sigma_1 + c_2 \sigma_2 + … + c_n \sigma_n (c_i \in F, \sigma_i \in V) $

この時$\sigma_i$を$V$の基底という。基底の取り方は一意的ではないが、基底の個数(この場合は$n$)は一意的である。基底の個数をベクトル空間の次元といい、$dimV$のように書く。上式では$dimV = n$である。

個々の基底は一次独立である。逆に、$n$次元ベクトル空間でもし一次独立なベクトルを$n$個選べば、それらは基底になる。

線形写像

体$F$上のベクトル空間$V$から、$F$上のベクトル空間$V’$への写像$T$を考える。

$ T:V \rightarrow V’ $

この写像が次の性質を満たすなら、$T$を線形写像という。

$ T(x + y) = T(x) + T(y) (x,y \in V, T(x),T(y) \in V’) $

$ T(cx) = cT(x) (x \in V, c \in F) $

また、$T(x) = 0$となる$V$上の点$x$を$T$の核、もしくはカーネルといい、$KerT$と書く。また$T(x)$によって$V$の元が移る先の、 $V’$の部分集合を像と呼び、$ImT$のように書く。